先日ストローマン主催のインプラントのセミナーWDAIベージックコースに参加してきました。
WDAIは“Woman Dental Academy for Implantology”女性歯科医師が学びやすい環境を目指したもので、講師の先生は田中道子先生を始め、柳井知恵先生、立川敬子先生、渥美美穂子先生の他、臨床経験豊富な女性歯科医師の講師の先生方か多くいらっしゃいました。
そこで学んだことや感じた事など交えながら以下でご紹介していきたいと思います。
セミナーは合計2日間行われました。
1日目はインプラント学概論、インプラントに必要な局所解剖、インプラント診査診断、治療計画、外科の基本などの講義がありました。インプラントを行う上で重要な動脈や神経、起こりうる合併症、偶発症など改めて学ぶことができました。
患者さんによって残っている歯の数や骨の状態は様々であるため、それを調べるための診査、診断、患者さんへの説明と同意がいかに重要であるかも学ぶことができました。
また、小林先生によるインプラント器具の特徴の基本や今回はストローマン会社でのセミナーであったため、ストローマン会社のインプラントの特徴をマニュアル本を参照しながら学びました。
メーカーによる違いなどが詳しく聴けるのはセミナーならではと感じました。初心者でもとても分かりやすく面白く教えて頂きました。
午後はストローマン社製、BLT、TL埋入のインプラント外科実習を行いました。
外科実習では柳井先生によるデモンストレーションのもと、顎模型を用いてインプラント体埋入実習を行いました。
BLTとはボーンレベルインプラントのことで、アバットメント(被せもの、歯として見える部分とインプラントを接続させるもの)が骨の中のレベルにあるもの、TLとはティッシュレベルのことでアバットメントの接続が骨の上、歯肉のレベルにあるものを言います。今回はこの二種類のインプラント体の埋入実習をしました。
また歯肉付きの模型であったため切開の入れ方から縫合の仕方まで、臨床経験の話を交えて頂きながら行うことができました。
2日目はインプラントの補綴の基本、デジタルデンティストリー、ガイデットサージリー(インプラントを埋入する際の指標となるもの)、 光学印象のデモンストレーション、CAD/CAM(コンピューターで設計、作製するもの)についての講義がありました。
デジタル化の普及により印象材(型取りの材料)が不要となり不快感の軽減や嘔吐反射の方にも使用でき、印象を画面上で即時に観察することやデータを送信、共有できることが可能になった事でIOSの優位性を学ぶことができました。
午後は補綴実習、オープントレー法による印象採得がありました。
インプラントの型取りには用いるコーピング(型取りに使用する部品)によってオープントレー法とクローズドトレー法の2種類があります。
印象からコーピングの着脱をしないため一般的に印象精度が良好とされているオープントレー法を用いることが多いですが、コーピングの長径が長いため、口を大きく開ける事に制限のある方にはクローズドトレー法を用います。
今回は印象精度をあげるためのコツや注意点をご指導頂きながらオープントレー法を行いました。
インプラントの歴史は50年になりますが、講義や実習が大学取り入れられたのは最近であり、大学時代にインプラントを学んだ事のなかった先生方やこれからインプラントを臨床に取り入れていきたい先生方など様々な理由で参加していました。
私は現在研修医なので大学での座学メインのインプラント治療についてしかわかりませんでしたが今回のセミナーで基礎的な知識と共に具体的な症例を見ながらの講義や実習があったため臨床的な知識を身につけることが出来たと思います。
また講師の先生は皆女性という事もあり、女性歯科医師ならではの考え方などを聴くことができました。
これまで、歯がなくなってしまったら入れ歯かブリッジの二択になってしまっていたところにインプラントが加わることで、治療の選択肢の幅が広がるのだと感じたのと同時に今後習得すべき技術だと思いました。
教科書で学んできた事が基本なのはもちろんですが、それだけではなく臨床での実際や経験談を聴き、また臨床で活躍される先生方を目の当たりにし今後のモチベーションの向上になりました。今回のセミナーで学ばせて頂いた沢山のことを活かしていけるよう日々精進していきたいと思います。
歯科医師 沼口友美
2019年9月19日 カテゴリ:未分類