普段、日常生活を送る中で、「口の中が乾いているな」と感じることはありませんか?起床の直後など渇きを意識する方は少なくないのではないでしょうか?
この「口の中が乾いている」状態が常に起こっている場合には、「ドライマウス」の疑いがあります。
ドライマウスは、「食べる」「話す」「味わう」「飲む」など、日常生活では必要不可欠な口腔機能の低下を余儀なくされる病気です。様々な原因で引き起こされますが、患者様自身は病気のことを理解できずに悩んでいることが少なくありません。
今回は、ドライマウスについての簡単な説明と、注意点を紹介していきます。
【ドライマウスとは】
ドライマウスとはのどが渇いたり、口の中が乾燥したりする症状のことを言います。
例えば、「パンやビスケットが食べられない」、「味がおかしい」、「夜、目が覚める」、「皮膚が乾燥する」・・・など様々な症状があります。
ドライマウスの原因は、唾液を作り出す唾液そのものの病気、糖尿病、腎臓病などの病気による薬剤の副作用、心因的ストレス、筋力低下、放射線治療、腫瘍や外傷、全身疾患など様々なものが考えられます。
ドライマウスになると唾液が減少します。
唾液には虫歯や歯周病など口腔疾患のリスクをおさえてくれる作用があるため、唾液量が低下すると、口腔細菌の数は爆発的に増加し、虫歯や歯周病など口腔疾患のリスクが高まり、さらには肺炎など全身的な感染症にも繋がってしまいます。
【シェーグレン症候群】
ドライマウスの原因の中でも特に注意が必要なものとして、「シェーグレン症候群」が挙げられます。
シェーグレン症候群とは「自己免疫疾患」のひとつであり、遺伝的因子、環境因子、性ホルモン、加齢等様々な要因によって引き起こされる難病です。
「自己免疫疾患」とは、感染などの外からの刺激がなくても炎症がずっと続く病気で、治癒が難しいと言われています。
シェーグレン症候群にかかると患者さんの免疫細胞が患者さん自身の唾液腺や涙腺を攻撃し、唾液腺・涙腺が破壊されることによって分泌が衰え、その結果、口や眼が乾燥します。
「口の中が乾き気味だ・・・」という症状だけだと、あまり深刻に考える方は少ないかもしれません。
または、悩みを抱えていても、いったい何が原因なのか判断し難い症状でもあります。
ドライマウスの治療ではドライマウスの原因究明が重要になります。
先述したシェーグレン症候群などの難病となると、簡単に症状の改善をすることが困難な場合もあります。
しかし、正しい診療により多くの場合には症状の改善がみられています。
もし、「口が渇く」ことが長く続いていらっしゃる場合には、症状の悪化を防ぐためにも、まずはお近くの歯科医院で診療を受けることをお勧めいたします。
実習生 山路八重
2015年3月15日 カテゴリ:ドライマウス and tagged シェーグレン症候群, ドライマウス